ずっと前から感心のあった樹皮や茎から繊維をとること。でもそれは、遠い土地のできごとのような気がして。木綿や羊毛に手を動かすばかり。
自然が暮らしとともに在る今、心の中にあった草木への興味がまたふつふつと湧き出してきた。
それは染料としてではなく素材としての興味。そういう時は不思議とその興味がいろいろな形で近づいてきます。
アイヌ民具の編み袋にサラニプというものがあることを知ったのはこの夏のこと。サラニプという聞き慣れない言葉と美しい響きに引き寄せられ調べてみると、ハルニレやシナを材料としていることが分かりました。
ずっと前から抱いていた興味が、年月を経てまたふつふつし始めていることが嬉しくて、自然と手を動かしたくなり。
北海道はちょうどとうもろこしの美味しい季節。茹でるために手にしたとうもろこしの皮を見て、これも糸になるのかな。
そうしてできた糸でした。
作り方はとてもシンプル。
1.とうもろこしの皮を天日干しします。
2.しっかり乾かします。
3.細く裂いてビニール袋に入れて、霧を吹いて湿らせます。太さは、ひとつ作ってみると自分の欲しい太さがわかります。
4.とうもろこしの皮を2本揃えて片方の端を片結びして、柱にくくりつけたクリップで結び目をはさみます。撚りをかけて糸にします。継ぎ足す時は新しい一本をへの字にして、なくなりそうな皮と一緒に撚りかけをします。つなぎめの飛び出した部分をカットして完成です。
余談。岩手出身の夫はとうもろこしのことをとっきみといいます。とっきみ、なんか可愛い。