ひとつずつ

年始に降り積もった雪がほとんど溶けてしまい、ただただ寒い空気だけが漂っています。

いっぱい降って積もる雪のことを、ドカ雪と言うらしいです。関東では使わない言葉に、初めて聞いた時はちょっとびっくりしましたが、今はもう慣れました。盛岡の積雪量が実はそんなに多くないからです。

それよりも、溶けかけた雪が寒さで凍る期間の方が長いのです。デコボコ、ツルツルの地面は、車も歩行者もほんとうに気をつけなければなりません。

焦らず、ゆっくり。東北の冬は、静かです。

フワフワの原毛。

そう、前回のつづきを少し。

カードをかけた原毛、この後に、ちょっと根気のいる作業が始まります。

原毛を光の方向へ透かすと、つぶつぶが見えてきます。つぶつぶは、小さな毛玉、すごく短い繊維の残り、羊の体に付いていたワラやゴミなどです。これをピンセットでひとつずつ取り除いていきます。

マフラーやショールに使われるメリノやポロアスなど細番手の毛は柔らかく、特につぶつぶが多いです。つぶつぶが多い時はとても時間がかかります。

糸に紡ぐ前の、大事な仕事。ていねいにていねいに、取ります。

ひとつひとつが、ホームスパンの工程のひとつ。

そして

2月にイベント出店のお誘いがあったので、染めた原毛、紡いだ糸、織った布、今できることを考えて、手を動かして、進めていきたいなと思います。

一歩、一歩。

ホームスパン

長い冬休みがようやく終わり、工房は今日が仕事始めでした。

盛岡でホームスパン工房の内弟子となり、二回目の冬が来ています。

この頃、修行が終わったらどうするのか、よくみんなに聞かれます。

長いようであっという間の三年間。少しずつ、方向を考えながら、今、この盛岡での生活も楽しんでいたいという思いも持ちながら、冬休みを過ごしていました。

年明けに、工房の大先輩のアトリエをお借りして、染め物とカードかけという作業をしてきました。

今回カードをかけたのは二色の原毛で、一つは機道具と一緒に譲ってもらった藍染の原毛、もう一つは工房で先生のと一緒に染めさせてもらった桜の原毛です。桜は銅媒染。剪定してからわりとすぐに染色したので、濃い目の色が出ています。藍染のほうはおそらく生葉染めです。

色と色をまぜて、色をつくるのですが、原毛の段階で色づくりができるところがホームスパンの醍醐味のひとつといえます。糸染めにはない深い色合いが出せるからです。

色の割合を決める作業を色出しと言って、少量の原毛を0.1g単位で調整しながら混ぜていきます。

手持の原毛を混ぜてみて何種類か色出しし、気に入った色合いのもの二種類を今回100gくらいずつつくることにしました。

ミックス中の原毛は、不思議な色合いなことが多いです。

でも、何度も何度も混ぜていくと、いい色になっていきます。

だんだんと混ざり合う二色は、暮れていく空の色のようです。

この続きは次回、またご紹介致します。

今年は、ホームスパンのことを中心にblogを進めていきたいと思います。

そう言いつつ、散歩や旅やねこの事などもたくさん書いてしまうかもしれませんが。

今年もどうぞよろしくお願いします。

糸から布へ

4枚目のウールのラグを織り下ろして、ふさの始末をしています。

3枚目を織ってからしばらく動いていなかった機。頂き物の藍染の手紡ぎ糸を双糸にして、緯糸にいれてみたら、あ、これだ!と思って、どんどん織った。単純な平織りに、2つの異なる糸を織り交ぜるやり方は前からやってみようと思っていたこと。

これだという感覚、やってみたかったこと、今回のラグ作りのポイントにしている等間隔のライン。考えながら手を動かす部分と、感じながら手を動かす部分。織りながら、なんとなく空と海を思い浮かべていた。

これまで見てきた風景や感じてきた思い。じぶんのこころを通して決めた配色、そうして織りあがった布。

一本の糸が素直なかたちで布になっている事が

うれしい。

そういう織物をたくさん作っていきたいな。

ねこをおもう

お休みの日は、いつもよりゆっくり眠って、食べて、部屋を片付けて。この頃なにも予定がない日は、そんなふうになっています。動けないときは無理しないでもいいや。お天気良くても外に出なくてもいいや。これで猫がいたら最高だけど。

先日、蟻のユウナさんに誘われて、ビジョンマップの会に参加しました。短い時間の中で目にとまった写真や言葉を切り抜いて、一枚の画用紙に思い思いに貼っていきます。

その時、猫を貼ったんだけど、最終的に上から違うものを貼った。

一緒に暮らすのは、もうちょっと先なんだろうな。

ミルク用の敷物を織って、糸始末をしています。これを渡すのはいつになるのかな。

歩くこと

最近あまり歩かなくなっています。

神奈川にいた頃は毎日8〜10キロくらい歩いていましたが、今、工房への行き帰りはほとんど自転車で、少し遠出するような時は誰かが車に乗せてくれます。

この頃よく雪が降って、ある朝、出発の時間になっても溶けていないことがありました。

自転車でも余裕で走れる感じはあり、どうしようかなと少し考えて、でも、凍っている地面は危ないので歩いて行くことにしました。

家を出て通りまで行くと、まだタイヤを換えていないのか、ゆっくりと走っている車がいました。なんとなく、自分の足元にも緊張がはしります。

川沿いの道を歩いて、途中で曲がって、大きい道路に出ます。その、曲がったところで、一本の木に目がいきました。

ちいさい赤い実が、なっていました。

すぐに雪ウサギが思い浮かびました。これを雪ウサギの目にしたらちょうどいい。

実が落ちていないか辺りを見回しました。

予想通り、いや予想以上に大きい、赤い実をつけた房が、雪の中に埋もれていました。

二粒あれば十分だと思っていたのに、こんなにたくさん、どうしようかと少し考え、そっと拾いました。

房は凍りかけていて、指先に冷たさが伝わってきます。足元にも注意しながら、冷たい実を持ったまま工房まで歩いて行きました。

途中、歩道の脇に生えている草を見て、雪ウサギの耳になるかどうか判断している自分がいました。雪ウサギをつくるかどうかもわからないのに。

工房に着いてから、実をティッシュにくるみ、鞄に入れておきました。

夕方家に戻ってから取り出すと、実は転がり落ちることなくしっかりと房についていました。

このまま部屋で乾燥させることにして、ミシンテーブルの上に置きました。

雪ウサギの目に、ほんとうにちょうどいい実だなぁと、何度も思います。

歩くのが、すき。