
工房のお弟子時代にいただいたこのコチニール染料は、すりつぶして一番をとったあと乾燥させていたものでした。いつかいつか染めようと思いながら、コチニールを煮出した時の独特な匂いが苦手で、ついに7年も寝かせてしまいました。
これまで染めたコチニールの色見本の中にすりつぶしの二番煎じの色がなく、この染料にどれくらい赤い色が残っているのか想像ができないことが探究心をくすぐられるようで。ではどこまで赤色が出るか、試してみることにしました。
羊毛は錫酸ソーダとクエン酸で先媒染しておきます。
コチニールが約17gあったので毛の量は170gにしました。(被染物の10%です)
二番煎じからのスタート。染料の10%の酢酸を入れて酸性抽出します。
火にかけるとみるみる水の色が変わりました。二番煎じは、紅茶のようなオレンジ色の染液がとれました。粒の状態ならもう少し赤くなったと思いますが、すりつぶしたコチニールの赤は一番煎じでほとんど出てしまったようです。
三番は酢酸を入れずに煎じてみました。二番よりもぐっと色が薄くなりました。二番と三番を合わせて使いました。
染め初めはオレンジ味が強く、温度が上がるにつれて媒染剤と反応しながら色が変化していき...。
翌日、羊毛はすっかり染液を吸収して鮮やかなピンク色になっていました。

コチニールには近隣で採る植物染料とはまた違った良さがあります。これまで優しい雰囲気の作品を作ってきましたが、この力強い色を使って、気持ちがウキウキするような色鮮やかなホームスパン作りにも挑戦してみたいと思っています。この思いについてはまたゆっくりと書きたいと思います。
※ 染色の時によく登場する紗の袋。これはシルクスクリーン捺染の版に使う布です。コチニールのように何番も煎じる時などに便利です。抽出後、染液を漉す時はいつもザルと濡らして固く絞った晒を使うのですが、細かい染料は袋に入っていると扱いやすくておすすめです。紗は染料屋さんなどで購入できますよ。